オリンピックドーピング問題。リオ五輪に向け隠蔽行ったロシアに処分

2016年8月に開幕するリオオリンピックの盛り上がりに暗い影を落としているのが、次々と明らかになるドーピングの問題です。

国際陸上競技連盟は6月に開いた理事会で、組織ぐるみのドーピングを行っていたロシアの陸上界に対し、リオ五輪への参加を認めない方針を固めました。

この記事では、問題の経緯について振り返るとともに、オリンピックにおけるドーピングの歴史やスポーツ界のドーピング対策の取り組みについても紹介します。

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ロシアの陸上選手がリオ五輪に出られない!?

ロシアの組織ぐるみでのドーピングへの関与が問題化したのは2015年11月。

世界反ドーピング機関=WADAが公表した報告書により、ロシア陸上競技連盟のコーチや医師が自ら選手に禁止薬物を渡し、なおかつ国ぐるみでドーピングの事実を隠蔽していたことが明らかになりました。

これを受け、国際陸上競技連盟は、ロシア陸上競技連盟に対し、選手が国際大会に出場するのを禁じる資格停止処分を科す一方、WADAではその後もロシアのドーピング疑惑について調査を継続してきました。

そして2016年6月、WADAは新たな報告書を発表。

その内容は、2月から3カ月余りの間に同国選手を対象とした検査が700件以上も中止に追い込まれ、実行できなかったという衝撃的なものでした。

報告書によると、尿入りの袋を体内に仕込んでいたことが見つかった後、検査官を買収しようとした女子選手がいたほか、検査を受けずに逃亡した選手も複数おり、さらにはアイスホッケーの国際大会で、WADAが今年から禁止薬物に指定したメルドニウムの使用が疑われるU18(18歳以下)のロシアチームが、丸ごとU17のチームと入れ替わったという事例も報告されています。 

組織として改善の姿勢が見られない実態が暴かれたことで、国際陸連は17日の理事会で、ロシア陸連の資格停止処分を解除しないことを決定。

これによりロシアの陸上選手のリオ五輪出場は事実上困難となりました。

国際オリンピック委員会=IOCのバッハ会長は特例として、信頼できる第三者機関によって潔白が証明できた場合は出場を認めるという救済策を検討しているようですが、今後の状況は不透明です。

また、リオ五輪ではロシアの陸上だけでなくブルガリアのウエイトリフティングについても、組織ぐるみの違反が行われていたとして、すでに五輪の出場を認めない決定がなされています。

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違反と対策のいたちごっこ ドーピング問題の歴史

ドーピングとは競技能力を増幅させるために、薬物などの不正な方法を用いることであり、語源については諸説ありますが南アフリカの原住民が祭礼の時に飲んでいた酒「ドップ」に由来するという説が有力です。

記録として残っているドーピングでは1865年のアムステルダム運河水泳競技が最も古いとされています。

そして1960年のローマ五輪では、興奮剤(覚醒剤)を使用した自転車競技の選手が死亡。

これをきっかけに、1968年のグルノーブル冬季五輪とメキシコ五輪から正式にドーピング検査が実施されるようになりました。

当初は、麻薬や覚醒剤、興奮剤のみが検査されていましたが、1976年のモントリオール五輪からは筋肉増強剤の一部が発見できるようになるなど、徐々に検査内容も強化され、2000年シドニー五輪からは血液検査も実施されるようになりました。

ただ、検査の目をかいくぐる新たな薬剤や、元々人の血液に含まれている成分を使った「血液ドーピング」などの手法も次々に生まれ、違反と対策のいたちごっこが繰り返されているのが現状です。

巧妙化するドーピング。その対策は?

巧妙かつ悪質化するドーピング問題に対し、IOCのバッハ会長は「ドーピングをした選手の勝ち逃げは許さない」として、ドーピング違反を犯した選手や組織に厳しく対処する方針を打ち出しています。

特に力を入れているのが、2008年北京五輪や2012年のロンドン五輪で採取した検体の再検査です。

ドーピング検査の精度は日進月歩で進歩を続けており、報道によると再検査した700例のうち54選手の検体で陽性反応が見られたということです。

その中には、あのウサイン・ボルト選手とともに北京五輪の400メートルリレーで金メダルを獲得したジャマイカのネスタ・カーター選手の名前も含まれており、違反が確定すればボルト選手の金メダル剥奪という事態に発展する可能性もあります。

検体は10年間冷凍保存することが定められているということで、今後ドーピング検査の技術の発展とともに、スポーツ界のドーピング漬けの実態がさらに明らかになっていくかもしれません。

組織ぐるみの隠蔽行ったロシアに処分。リオ五輪ドーピング問題の現状とは のまとめ

長年にわたりスポーツ界を揺るがし続けるドーピング問題。

2004年のアテネ五輪のハンマー投で当初トップの成績だったハンガリーの選手が検査時の不正を指摘され、再検査にも応じなかったため室伏広治選手が繰り上げで金メダルを獲得したのは記憶に新しいところですし、最近ではテニス界で絶大な人気を誇るマリア・シャラポワ選手が禁止薬物の使用により2年間の出場停止処分を受けるというショッキングな出来事もありました。

己の肉体の限界に挑むアスリートが、さらなる高みを目指してふと不正の誘惑に駆られる気持ちはわからなくもないですが、愚直に努力を続けるほかの選手がバカを見るような事態はやはり決して許されるものではありません。

IOCはじめ関係機関には、「ドーピングをしても絶対にばれる」「ドーピングなんか割に合わない」とまで思わせるくらいの、毅然とした態度と厳しい検査態勢でドーピング撲滅に力を尽くして欲しいです。

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