『母の残像』ネタバレ!感想と評価も

映画『母の残像』のあらすじネタバレと感想や評価をまとめました!

以下、あらすじやネタバレが含まれる記事となりますので、まずは『母の残像』映画作品情報をどうぞ!

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映画『母の残像』作品情報

公開

2016年(ノルウエー、フランス、デンマーク、アメリカ)

監督

ヨアキム・トリアー

キャスト

ガブリエル・バーン、ジェシー・アイゼンバーグ、イザベル・ユペール、デヴィン・ドルイド

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映画『母の残像』あらすじとネタバレ

母の死の真相

若き大学教授、ジョナの指を生まれたばかりの赤ん坊がしっかり握りしめています。ベッドに座って二人を見つめている妻。幸せそうな家族の光景です。

ジョナの父親、ジーンは亡き妻、イザベルの回顧展に関して画廊関係者と打ち合わせをしていました。イザベルは著名な戦争写真家で、引退後に交通事故で亡くなったのです。画廊側は未発表の作品を提供してほしいとジーンに依頼します。

イザベルの仕事上のパートナーだったリチャードは、回顧展に合わせてニューヨーク・タイムズに記事を書く予定です。彼はイザベルの死について触れないわけにはいかないとジーンに告げます。表向きは事故とされていますが、実は自殺だったのです。

ジーンとジョナは事実を知っていましたが、幼かった弟のコンラッドには伝えていませんでした。記事が出る前に打ち明けなくては、とジーンはコンラッドに声をかけますが、日頃から父親と話そうとしない彼は、まったく耳を貸しません。

コンラッドは今では高校生になっていますが、いつもひとりぼっちで過ごしています。母の不在が彼をそうさせているのでしょうか。父は心配でなりません。

母の秘密

作品整理のために、ジーンはジョナを家に呼び寄せます。彼は、精力的に仕事をはじめます。ジョナは弟とも折り合いがよく、家の雰囲気が少し明るくなりました。

しかし、整理中に、ジョナは母の秘密を知ってしまいます。そして思い悩みます。予定していた日程が過ぎても帰る気になれません。

コンラッドは書き綴っていた日々の想いや、散文を兄に見てもらいます。

彼には好きな女の子がいました。兄と一緒に、学校のグランドにやってきた彼は、その女の子が腕を包帯でつっているのを見ます。もうすぐ大会が近いというのに、と彼は思わず呟きます。彼女はチアリーディング部に所属しているのです。

彼女に自分が書いている文章を見せるつもりだとコンラッドは言います。ジョナは、「お前の書くものは素晴らしいが、彼女はそれを見てもお前の評価を変えないよ」と言い、高校時代というものの不条理性を説いて諦めるよう忠告します。

ジーンがコンラッドに母親の死の真実を話そうとしているのを知ってジョナは反対します。そんな記事を書かせてはいけない、彼にはとても耐えられないだろうと。しかし父は、彼には知る権利があるのだよと言います。

ジーンは、ジョナが何やら悩んでいることに気がついていました。ジョナが寝ているのを確かめると、妻が残した写真の資料をリチャードのところに持ち込みます。画廊にではなく君に選んでほしいと。しかしその時、彼は気付いてしまいます。リチャードが妻と寝ていたことを。

関係していたのは仕事の時だけだ。彼女が引退してからは一度もない、とリチャードは告白します。

ジョナもそのことを知り悩んでいたのです。妻に母の死が自殺だったということをずっと言いそびれていることも気になっていました。

コンラッドは書き綴っていたものをプリントアウトして、少女の家に持っていき、ドアの前に置くとあわてて立ち去ります。

母への想い

家族それぞれが、妻、そして母であるイザベルの生前の姿を思い浮かべます。イザベルが仕事で負傷して入院していたときのこと、仕事のことで言い争いになったこと、母に抱きしめてもらった日のことなどを。

新聞に記事が出ました。かなり大きく取りあげられており、死の真相にも触れられていました。文章がやけに親しげだ、とジョナは腹を立てます。父親はなんとかコンラッドに連絡をとろうとするのですが、うまくいきません。

コンラッドはコンビニで新聞を手に取り、記事を読んでしまいます。

彼は家に帰らずそのままパーティーに出かけ、誰とも喋らず、一人で過ごしていました。

外に出ると、例の彼女が一人で立っているではありませんか。彼女は体調が悪そうで、彼は彼女が歩いて帰るのに付き合います。チアリーダーになって初めて落下したこと、別の人にポジションをとられたことを彼女は語り出します。

「あれ読んでくれた?」「あなただったの!? あれはネットのコピペか何か? あなたが書いたの?」。

一緒に歩くうちに二人の心が通じ合い、彼女は火曜日に一緒にランチしましょうと誘ってくれました。でも彼にはわかっています。月曜日になれば彼女の気が変わることを。でもそう言ってもらえただけで彼は嬉しかったのです。

家に戻ると心配した父が待っていました。「僕は大丈夫だから」コンラッドは気丈にその言葉を繰り返します。

回顧展が始まります。

ジーンは眠っているジョナを起こし、家に帰るように促します。酒を飲んでいるから運転できないというジョナに「俺が送ってやる」というジーン。

後部座席にはコンラッドも乗っています。ジョナ家に着いた父とコンラッドは歓迎され、彼らは赤ん坊にも気に入られます。

コンラッドは思います。ぼくたちはみんな母のことを心から誇りに思っていたと。

『母の残像』の感想と評価

戦争写真家という天職と、家族への愛とのはざまで苦しんだイザベル。母の不在の中、懸命に生きる夫と息子たち。

愛し合っていても時にすれ違いうまくいかなくなることがあるのが家族です。一緒に暮していても互いの心の奥底のことなんてわからない。

それでも映画は希望を持って終わります。人間の弱さとたくましさがそこには描かれているのです。

そして、実はこの作品、学園ものでもあるのです。コンラッドが好きな女の子に自分をわかってもらうため、日々書いている文章をみせるつもりだと兄に話すと兄はやめておいたほうがいいと言います。

それはここが高校という特殊な場所だから。顔のよさや社交性でしか評価されない。変に目立つことなく息を潜めてやり過ごすのだ、少しだけの我慢だ。弟に傷ついてほしくない兄はそう忠告します。

学園ヒエラルキーのもと、ランチを食べるグループも細分化されているのがアメリカの高校生活です。だからチアリーダーの彼女とランチを食べるなんて無理な話だということはわかっているのです。でもそう言ってくれたことが嬉しい。

ささやかな喜びですが、それはコンラッドが勇気を持って行動したことから生まれたものなのです。ここで思わず泣きそうになってしまいました。

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まとめ

監督のヨアキム・トリアーは『ダンザー・イン・ザ・ダーク』などで知られるラース・フォン・トリアーの甥です。ラース・フォン・トリアー作品に見え隠れする残酷趣味が苦手なので、観る前はちょっと躊躇したのですが、観てみるとまったく個性が違いました。

実に繊細で、きめ細やかで、愛おしい映画を撮る人です。

イザベルに扮するのはイザベル・ユペールです。最近の彼女の活躍は著しいものがあります。今年封切られた『アスファルト』でも、向かいの家の孤独な少年と心を交わす落ち目の女優を演じていました。『3人のアンヌ』や、『間奏曲はパリで』などはどこか可愛らしさも感じさせる存在感をかもし出していました。『エデン』のミア・ハンセン=ラブ監督の新作の出演も決まっています。

ジョナに扮した『ソーシャル・ネットワーク』などでおなじみのジェシー・アイゼンバーグのこざっぱりした清潔感も好印象です。

そして何よりコンラッドを演じたデヴィン・ドルイドの今後の活躍が楽しみでなりません。

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